西光山無量寺縁起

 寺伝によれば、今から約800年前御堀河天皇元仁元年(一二二四)亨賢和尚の開基創建と伝わる高野山真言宗の寺である。山号を西光山、寺号を無量寺と称し、現住職で52代を数える。
 元仁元年と云えば鎌倉幕府の実権が執権である北条氏の手に移り北条泰時が大軍を率いて京都に上った承久三年の三年後である。以来悠久幾星霜移り変わり戦乱を経て壇信徒の厚い敬護のもと今日に至っている。
 この無量寺には造立以来千余年と云われる重要文化財 阿弥陀如来座像が安置されているところから、元仁元年以前からあったのではないかとされ、阿弥陀如来を守護するために建てられた別当寺であったことがうかがえる。
戦国時代には多くの寺院や神社が焼き討ちに合うなか、当山は火災にあったとの記録がなく、多くの文化遺産が残っており、歴史の宝庫といわれている。
 現在は伊那諏訪八十八ヶ所霊場の三十六番札所、中部四十九薬師霊場の十三番札所としても多くの信仰を集める。脚下に天竜川、遠くに南アルプス連山・伊那谷を望む風光明媚なまことに閑静な浄域である。